年末のギフトシーズン、「まだ届きません」という同じ問い合わせに、担当者3人が違う返信をしていた。追跡番号を案内した人、「確認して折り返します」の人、発送予定日を間違えた人。問い合わせ対応の問題は、返信の遅さより、人によって案内が変わることにあります。
ECの問い合わせは、配送、住所変更、キャンセル、返品、在庫など似た質問が繰り返し届くので、テンプレートが効きます。AIは下書きが得意ですが、注文情報や個人情報を入力しないこと、正式なルールと人に引き継ぐ条件を先に決めることが前提です。
この記事では、10種類の分類、正式ルールの作り方、プロンプト、配送状況の返信例を紹介します。
【この記事でわかること】
- 問い合わせを10種類に分け、種類ごとに押さえる要素
- AIに「自社の正式ルール」だけで返信を作らせるプロンプト
- AIだけで送ってはいけない問い合わせの線引きと、効果の測り方
最初に10種類へ分類する
過去3か月のメールを、個人情報を除いて10種類に振り分けます。括弧内は、テンプレートに必ず入れる要素です。
- 配送状況(発送予定日、追跡番号の案内方法)
- 住所変更(変更できる期限と、過ぎた場合の案内)
- 注文内容の変更(数量・色の変更期限)
- キャンセル(受付条件、受付後の返金方法)
- 返品・交換(条件、期限、送料の負担、手順)
- 在庫・再入荷(再入荷の予定と、連絡の方法)
- サイズ・仕様(確認先の商品ページ、採寸方法)
- 使い方(説明書の場所、よくある誤り)
- ギフト・領収書(ラッピング、明細書、宛名の扱い)
- 苦情・個別判断(受付の連絡と、担当者からの折り返し)
件数が多い順に整備してください。上位3種類で全体の半分以上を占めることが珍しくありません。
正式な回答資料を作る
AIに一般的な回答を考えさせてはいけません。発送時期、住所変更の期限、送料、返品条件、再入荷の案内、営業時間、連絡先を一つの資料にまとめ、AIにはその中身だけを使わせます。
とくに返品・交換の条件は、特定商取引法に基づく表記や利用規約に書いてある内容と一致させてください。テンプレートで「14日以内」、表記では「7日以内」になっていると、どちらが正しいかで揉めます。資料には更新日と責任者を記載し、繁忙期の発送スケジュールが変わったら先に資料を直します。
FAQと返信テンプレートを同じ資料から作ると、どこで見ても同じ案内になります。
返信テンプレート作成プロンプト
あなたはネットショップのカスタマーサポート担当者です。以下の正式ルールだけを使い、問い合わせ返信テンプレートを作成してください。
【正式ルール】
発送時期:
住所変更期限:
キャンセル条件:
返品・交換条件:
再入荷案内:
営業時間:
署名:
【出力】
配送/住所変更/注文変更/キャンセル/返品交換/在庫/サイズ仕様/使い方/ギフト領収書/苦情の10種類。
各テンプレートは、挨拶・回答・お客様に確認したい情報・次の行動・署名の順で150〜250文字。
お客様の氏名や注文内容が入る箇所は【お名前】【注文日】のように差し込み欄にする。
個人情報、注文番号、返金、安全、苦情に関わる種類には「送信前に担当者が注文情報を確認する」注意書きを付ける。
情報がない内容は推測せず「要確認」と表示してください。
禁止表現:正式ルールにない条件の案内、「必ず」「保証します」などの断定、お客様を責める表現。
テンプレート例:配送状況の問い合わせ
いちばん多い「配送状況」の例です。挨拶、回答、確認したい情報、次の行動、署名の5要素です。
「【お名前】様 このたびはご注文いただきありがとうございます。ご注文の商品は、【発送予定日】の発送を予定しております。発送が完了しましたら、追跡番号をメールでお知らせいたします。お急ぎのご事情がございましたら、ご注文日とお名前を添えてご返信ください。優先してお調べいたします。ショップ名/担当者名」
AIが作るのは「型」まで。追跡番号や発送日などお客様ごとの事実を入れるのは、注文情報を見られる人の仕事です。残りの9種類も同じ5要素で作ると、担当者が変わっても案内の品質がそろいます。
AIだけで送信しない問い合わせ
返金、決済、個人情報の訂正、苦情、事故、安全、法令に関わる内容、特別対応は、担当者が判断して返信します。定型の質問でも、注文の状況で答えが変わるものは送信前に注文情報を確認します。
安全な流れは、AIが分類と下書き、人が注文情報を確認して送信。チャットボットで自動返信まで進める場合も、ボットが答えてよい範囲を先に決めます(『ECにAIチャットボットを導入する前の確認事項』)。
テンプレートの効果を測る
種類ごとに、件数、初回返信までの時間、作成時間、再問い合わせ、誤案内の件数を記録します。
同じ質問が減らないなら、返信を速くするより商品ページやFAQを直すほうが早い。「サイズ感が分からない」が月に30件来るなら、商品ページに採寸表を足すのが正解です。
繁忙期の前には、代表的な問い合わせ10件で返信案を作り、担当者全員で読み合わせてください。古い条件や足りない案内がこの段階で見つかります。
テンプレートが整うと、問い合わせ対応を在宅スタッフや外部に任せやすくなります。判断基準と引き継ぎ条件のマニュアル化は『EC業務をマニュアル化してAI+在宅スタッフへ引き継ぐ方法』、外注の費用感は『ネットショップ運営代行の費用相場は?AI時代の外注範囲と選び方』をご覧ください。
よくある質問
お客様からのメールをそのままAIに貼り付けて、返信を作ってもよい?
氏名、住所、電話番号、注文番号などを消してからにしてください。問い合わせの種類と聞かれている内容だけ分かれば、下書きは作れます。入力内容がAIの学習に使われない設定か、法人向けのプランかも確認し、社内ルールに書いておきます。
テンプレートだと、冷たい印象になりませんか?
型をそのまま送れば、そうなります。各テンプレートに「お客様の状況に触れる一文」の欄を作ってください。「プレゼント用とのこと、間に合うよう手配いたします」の一文があるだけで印象は変わります。型で品質をそろえ、一文で気持ちを伝える分担です。
まとめ
ECの問い合わせ返信は、質問を10種類に分け、特商法の表記と一致した正式ルールを整え、AIに下書きを作らせます。注文情報は人が扱い、返金や苦情は人が判断してください。ママダカラEC AIでは、この分類とルールづくりを無料相談で一緒に整理しています。
【今日からできる3ステップ】
- 過去3か月の問い合わせを、個人情報を除いて10種類に振り分け、上位3種類を決める
- 上位3種類の正式ルールを一枚にまとめ、特商法表記と一致しているか確認する
- プロンプトでテンプレートを作り、担当者全員で読み合わせてから使い始める
【あわせて読みたい】
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