返品の受付フォームには「理由」の自由記述欄がある。たまっている件数は300件。でも、集計されたことは一度もなく、担当者が処理のたびに読んで、そのまま閉じている。返品理由は、使われていない改善データの代表格です。
返品やキャンセルには、サイズが合わない、イメージと違う、到着が間に合わない、注文を間違えた、など複数の理由があります。件数だけを見ても、どこを直せばよいかは分かりません。AIは、自由記述の理由を分類し、よく出る言葉や商品ごとの傾向を整理する作業に向いています。目的は、お客様個人を評価することではなく、商品情報と購入体験を改善することです。
この記事では、返品・キャンセル理由を分析し、改善につなげる手順を紹介します。
【この記事でわかること】
- 個人情報を除いて集計し、共通の分類にまとめる方法
- 件数ではなく返品率で見る理由と、傾向の見方
- 理由ごとに「どこを直すか」の対応表と、変更後の確認
個人情報を除いて集計する
氏名、住所、電話番号、メールアドレス、注文番号を除き、日付、商品、カテゴリー、返品理由(選択式)、自由記述を集計します。担当者名や取引先の情報も、必要なければ除いてください。
利用するAIサービスに入力してよい情報は、社内ルールで確認します。「理由の文章」だけなら個人情報は含まれにくいですが、自由記述にお客様が自分の名前や住所を書いていることがあるので、渡す前に目を通してください。
理由を共通の分類にまとめる
分類は、サイズ、色・見た目、品質、説明不足、配送、注文間違い、都合の変更、の7つが基本です。AIへの依頼はこうです。
「次の返品理由の自由記述を、サイズ/色・見た目/品質/説明不足/配送/注文間違い/都合の変更の7つに分類し、分類ごとの件数と代表的な記述を3つずつ出してください。判断が難しいものは要確認として分けてください」
要確認に入った記述は、担当者が読んで決めます。一つの理由に無理に決めず、「主な理由」と「関連する理由」を分ける方法もあります。「サイズが合わず、しかも色も写真と違った」は、サイズが主、色が関連、という具合です。
件数ではなく「返品率」で見る
特定の商品、サイズ、販売時期、キャンペーン、流入元で、件数と割合を比べます。販売数が多い商品は返品の件数も多くなるので、必ず返品率でも確認してください。
返品率 = 返品件数 ÷ 販売件数
返品件数1位の商品が売れ筋なら、本当に見るべきは返品率1位の商品です。「大型セールで注文間違いが増えた」「特定商品の色違いが多い」のような傾向が、返品率で見ると浮かび上がります。
理由ごとに、直す場所を決める
理由と、直す場所の対応は、おおよそ次のとおりです。
- サイズ → サイズ表、採寸方法、比較写真、着用イメージの注意書き
- 色・見た目 → 商品写真(自然光、複数角度)、「画面により色味が異なる」の明記
- 品質 → 商品担当と原因を確認。安全に関わるなら通常の改善とは分けて即対応
- 説明不足 → 商品説明、FAQ、使い方の情報
- 配送 → 配送目安の表示、発送連絡、梱包
- 注文間違い → 注文確認画面、数量・色・サイズの選択の見やすさ
- 都合の変更 → キャンセル期限と手続きの案内
AIで改善案を出し、商品担当、カスタマーサポート、物流の担当者が実行できるかを確認します。商品ページ側の直し方は『AIでECの商品ページを改善する5つのポイント』、着用画像が関わるなら『AIモデル着用画像でできること・できないこと』をご覧ください。なお、返品・交換の条件は特定商取引法に基づく表記として明示が必要で、FAQや商品ページの記載と食い違っていないかも、このタイミングで確認してください。
変更後の結果を確認する
変更日を記録し、同じ期間・同じ条件で、返品率、問い合わせ、購入率を比べます。返品が減っても購入率まで大きく下がった場合は、追加した説明が不安をあおっていないかを見直してください。
目的は返品をゼロにすることではなく、納得して選べる情報を増やすことです。返品の少ない店は、お客様が「思ったとおりの商品が届く」と信頼している店です。その信頼は、そのまま再購入につながります。長期の指標は『AIを使ってECのLTVを高める方法』、返品率の高い商品を仕入れの判断に活かす方法は『AIを使ったECの商品企画・仕入れ判断の進め方』で扱っています。
よくある質問
返品率はどれくらいが普通?
商材で大きく違います(アパレルは高く、食品は低い)。他社との比較より、自社の商品間の比較と、前後の比較を見てください。「平均の2倍の商品」があれば、それが最初の対象です。
お客様が理由を書いてくれない。
選択式の理由を必須にし、自由記述は任意にしてください。選択肢は上の7分類で十分です。選択式だけでも、傾向の分析はできます。レビューと組み合わせる方法は『AIで商品レビューを分析し、売上改善につなげる方法』にまとめています。
まとめ
AIで返品・キャンセル理由を分析するときは、個人情報を除き、7つの共通分類にまとめ、件数ではなく返品率で傾向を見ます。理由ごとに直す場所は決まっているので、対応表に沿って一つずつ改善し、変更後は返品率と購入率を一緒に確認する。たまっている300件の自由記述は、商品ページを直すための、いちばん正直な材料です。
【今日からできる3ステップ】
- 直近3か月の返品理由を、個人情報を除いて1枚の表にする
- AIに7分類で件数を出させ、商品別の返品率を計算して上位3商品を選ぶ
- 対応表から直す場所を1つ決め、変更日を記録して翌月の返品率を比べる
ママダカラEC AIでは、レビュー・問い合わせ・返品理由の分析と、改善コンテンツの制作を支援します。
【あわせて読みたい】
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