月初に楽天、Amazon、Shopifyの管理画面から売上CSVを落とし、列を見比べながらピボットテーブルを組む。気づけば2時間、しかも先月と同じ作業。この繰り返しを減らすのに、CSVやExcelを読み込んで集計表やグラフを作るChatGPTのデータ分析機能は役に立ちます。
ただし注意点が2つ。列の意味をあいまいにしたまま渡すと、AIは自信を持って間違った集計を出します。そして、氏名、住所、電話番号、注文番号などの個人情報を、そのまま入力してはいけません。
この記事では、この2つを押さえて、毎月同じ品質で分析する手順を紹介します。利用できる機能や画面はプランで変わるので、細部はOpenAIの公式情報で確認してください。
【この記事でわかること】
- 分析目的と「売上」の定義を決めてから、CSVを渡す理由
- 個人情報を除く下処理と、入力データの扱いで確認すべき設定
- 合計の照合から改善仮説まで、毎月使えるプロンプトと手順
1.分析目的を一つ決める
「売上を分析して」と頼むと、AIは当たり障りのない要約を返します。前月比か、商品別か、曜日か、広告か、返品か。目的を一つに絞ってください。
次に、「売上」の定義です。受注額か、出荷額か、値引き後か、税込か税抜か。楽天の受注データとAmazonのレポートでは、同じ「売上」でもポイント値引き、クーポン、送料の扱いが違います。
定義を決めずにモールをまたいで合算した売上は、どれだけきれいなグラフになっても使えません。出所と期間、定義をファイル名かメモに残します。
2.個人情報を削除し列を整える
読み込ませる前に、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、注文番号、備考などを削除するか匿名化します。残すのは、日付、商品コード、商品名、数量、売上、原価、広告費、返品など集計に必要な列だけです。
これは手間ではなく義務に近い作業です。個人情報保護委員会は2023年に、生成AIへ個人情報を入力する際の注意喚起を出しており、利用目的の範囲を超えた入力や、入力内容がAIの学習に使われる場合の扱いが問題になります。学習に使わせない設定か、法人向けプランかも確認してください。社内ルールの作り方は『EC企業が作っておきたいAI利用の社内ルール』にまとめています。
お客様の情報は、AIに渡さなくても売上分析はできます。あわせて、欠損、文字列になった数値、重複行、キャンセル行の扱いを決めておきます。
EC売上CSV分析プロンプト
あなたはECの売上分析担当者です。添付CSVを分析する前に、列名、データ型、欠損、重複、集計単位を確認し、不明点を質問してください。推測で列の意味を決めないでください。
【前提】
売上の定義:(例:税込・値引き後の受注額。キャンセル行は除外)
期間:
データの出所:(例:楽天RMSの受注CSV)
【分析目的】月次の売上変化と、改善を優先する商品を見つける
【出力】
1. データ品質の確認結果(欠損・重複・型の不一致)
2. 売上・数量・平均単価の月次集計
3. 商品別売上上位10件と前月比
4. 売上減少が大きい商品
5. 曜日別の傾向
6. 異常値と考えられる行
7. 事実と仮説を分けた改善候補
8. 担当者が追加確認すべき項目
計算式と除外条件を明記してください。情報がない内容は推測せず「要確認」と表示してください。
禁止表現:データから読み取れない原因の断定(「広告のせいで減った」など)、根拠のない将来予測。
3.最初に集計結果を照合する
AIが出した総売上、件数、数量を、モールの管理画面の数字と突き合わせます。ここを飛ばすと、全部の数字がずれたまま会議に出ます。
よくあるのが、AIの合計のほうが管理画面より大きいケースで、原因はキャンセル行や返品行を売上に含めていることがほとんどです。送料、クーポン、ポイント、税の扱いが違っても合いません。条件を直し、一致してから次へ進みます。
合計が合わない分析は、どれだけ深く掘っても信用されません。
4.グラフより先に差の原因を見る
売上が下がった商品が見つかったら、すぐにグラフを作らず、アクセス数、転換率、在庫切れ、価格、広告、レビュー、季節の何が変わったかを確認します。売上CSVだけでは、どれが原因かは分かりません。
だからプロンプトで「断定しない」と指示し、事実(CSVから言えること)、推測(考えられる原因)、追加で必要なデータ(アクセス数、在庫履歴など)を分けて出させます。
たとえば「保温ボトルの売上が前月比で3割減」という事実に対し、「在庫切れが10日間あった」というデータが加われば、原因は販促ではなく在庫です。
5.毎月使える分析手順にする
一度うまくいったら、同じ列名、同じファイル名、同じ除外条件、同じ出力表で毎月回せるようにテンプレート化します。担当者が確認する項目も固定します。月初の作業は大きく縮まります。
分析は実行につながって初めて意味があります。作成時間、修正回数、会議で決まった施策を記録してください。何を指標にするかは『ECのAI活用で設定したいKPIとは?』が参考になります。
同じ手順は、楽天の商品名を変えたあとに前後4週間を同じ定義で集計する、といった効果測定にも使えます(『楽天SEOをAIで改善する方法|商品名・検索キーワード・説明文の見直し手順』)。
よくある質問
無料プランでもCSVの分析はできますか?
機能の利用範囲はプランや時期で変わるので、この記事は特定のプランを前提にしていません。使う前にOpenAIの公式ヘルプで現在の機能と、入力データが学習に使われるかどうかの設定を確認してください。会社として使うなら、学習に使わない設定が選べるプランが安全です。
同じCSVなのに、結果が毎回少し違うのはなぜ?
AIが集計の条件(除外する行、丸め方、期間の境界)を毎回少しずつ変えて解釈するためです。プロンプトで売上の定義と除外条件を固定し、「使った計算式を出力する」と指示すれば、結果はそろい、違えば条件が変わった箇所がすぐ分かります。
まとめ
ChatGPTでEC売上CSVを分析するときは、目的と売上の定義を決め、個人情報を除き、合計を管理画面と照合してから内訳に進みます。AIの仮説をそのまま事実にせず、追加データと人の判断で改善につなげてください。売上集計は、業務の棚卸しで「AIで小さく試せる業務」の代表です(『EC業務の棚卸しをAI導入前に行う方法【チェックリスト付き】』)。ママダカラEC AIでは、毎月の集計を担当者が回せる形にする設計を、無料相談から始めています。
【今日からできる3ステップ】
- 先月の売上CSVから個人情報の列を削除し、売上の定義をメモに書く
- プロンプトで月次集計を出し、総売上と件数を管理画面と照合する
- 合計が一致したら、減少が大きい商品を1つ選び、追加で見るデータを決める
【あわせて読みたい】
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