「AIを入れたいので、ツールを比較してほしい」。無料相談でこう切り出された会社に、私たちは必ず一つ質問します。「どの業務に、月何時間かかっていますか」。即答できる会社はほとんどありません。
どこに時間がかかり、どこで人の判断が必要かが分からないままツールを選ぶと、導入しても使われません。先にやるべきは業務の棚卸しです。頻度、時間、元データ、判断、確認者まで一枚に整理すると、AIで試しやすい業務と人が担当し続ける業務が自然に分かれます。
この記事では、1時間でできる棚卸しの手順と、そのまま使えるチェックリスト、整理用のプロンプトを紹介します。
【この記事でわかること】
- EC業務を「作業単位」に分けて、7つの項目で整理する方法
- コピーして使える棚卸しチェックリストと、A・B・C分類のプロンプト
- 棚卸しの結果を、2週間の試行計画に変える手順
1.EC業務を5つの領域に分ける
まず、商品、集客、受注、顧客対応、分析・改善の5つの領域に分け、毎日・毎週・毎月やっている作業を書き出します。たとえば「商品ページ作成」と一行で書くと、何にどれだけ時間がかかっているか分かりません。情報収集、説明文の下書き、画像の準備、管理画面への登録、公開前の確認、と工程に分けてください。担当者が一回で終える作業の単位まで分けると、AIに任せられる工程と、そうでない工程がはっきりします。
2.時間・件数・頻度を記録する
作業ごとに、一回の作業時間、月の件数、繁忙期の増え方、やり直しにかかる時間を記録します。正確に測れなければ、まず1週間だけ測ってください。
意外な結果がよく出ます。月1回3時間かかる販促カレンダーの作成より、毎日20分の問い合わせ分類のほうが、月に換算すると約7時間と大きい。「大変だと感じる作業」と「時間を使っている作業」は、たいてい一致しません。
測り方に迷ったら、『AI導入でどれくらい時間を削減できる?測定方法を解説』の記録表がそのまま使えます。
3.判断とデータの有無を確認する
次に、作業ごとに3つを確認します。決まったルールで進められるか、経験者の判断が要るか、元になる情報がそろっているか。
文章の下書きはAI向きに見えても、素材やサイズが商品台帳になければ正確な文章は作れません。逆に問い合わせの分類は、過去のメールが残っていればすぐ試せます。
返金、法令に関わる表現、安全に関わる案内、重要なお客様への対応は、最初から「人の判断を残す」前提で整理してください。ここをAIに任せると、景品表示法や薬機法に触れる表現や、誤った返金案内がそのまま外に出ます。
棚卸しチェックリスト(コピーして使えます)
表計算ソフトに、次の7列を作ってください。1行が1作業です。
- 作業名(担当者が一回で終える単位)
- 頻度(毎日・毎週・毎月)と月間件数
- 月間の合計時間(やり直しを含む)
- 元データの場所(商品台帳、過去メール、CSVなど。「担当者の頭の中」も正直に)
- 判断の難しさ(ルールで進む/経験者が必要)
- 誤りが起きたときの影響(お客様に届く/社内で止まる)
- 公開前の確認者(名前。いなければ空欄)
10行も埋めれば傾向はつかめます。空欄が多い列がその会社の弱点です。元データの列が「頭の中」だらけなら商品情報の整理が先、確認者の列が空欄だらけなら確認の体制づくりが先です。
業務棚卸しを整理するプロンプト
あなたはEC業務改善の担当者です。以下の業務一覧を、①作業頻度、②月間件数、③月間時間、④元データ、⑤判断の難しさ、⑥誤りが起きた場合の影響、⑦確認者で整理してください。
そのうえで、AIで試しやすい順にA・B・Cの3段階へ分類し、理由を1行ずつ添えてください。
A:下書き・分類・要約など、小さく試せる
B:元データやルールを整えてから試せる
C:人の判断を残す(返金、法令、安全、重要顧客)
情報がない項目は推測せず「要確認」と表示し、確認質問を最後にまとめてください。
禁止表現:「必ず効率化できる」「◯割削減」など、根拠のない効果の断定。
【業務一覧】
ここに業務を貼り付ける
優先順位は負担・実行しやすさ・影響で決める
分類ができたら、Aの中から「負担が大きく、元データがあり、人が公開前に確認できる」作業を選びます。候補は、商品説明の下書き、販促文章、FAQの整理、売上レポートの下書きです。
たとえば売上CSVの集計は、個人情報を除けば試しやすいAの代表です(『ChatGPTにCSVを読み込ませてEC売上を分析する手順【プロンプト付き】』)。商品台帳と登録データの差分チェックは、台帳が整っていればAに上がり、整っていなければBです(『商品登録ミスをAIで減らすチェック方法|価格・SKU・画像・説明文』)。
効果は作業時間だけで測らず、修正率、公開ミスの件数、担当者が使い続けているかも見てください。最初の一つの選び方は『ネットショップのAI活用、何から始める?18年ECをやってきた私が勧める最初の3つ』でも書いています。
棚卸し結果を導入計画へ変える
上位3つの業務から一つを選び、対象件数、担当者、確認方法、2週間の試行期間を決めます。ツールの契約や外注は、その後でも遅くありません。
補助金を使う場合も、交付決定前に契約・発注した費用は原則として対象外なので、順番は同じです(『ECのAI導入に補助金は使える?2026年の対象経費と確認ポイント』)。
自社だけで決めにくければ、棚卸しの表を持って無料相談にお越しください(『EC AIの無料相談では何を話す?準備しておきたい7つの情報』)。
よくある質問
棚卸しに1時間も取れない。もっと短くできる?
できます。領域を一つに絞ってください。たとえば「商品」領域だけ、商品登録まわりの作業を5行書き出し、月間時間と元データの列だけ埋めます。15分で終わり、それでも最初の一つは決められます。
スタッフが作業時間を正直に書いてくれない
「評価には使わない」「減らすのは作業であって人ではない」と先に伝えてください。棚卸しが人員整理に見えると、時間は短く申告されます。最初の1週間は代表や責任者が自分の作業から記録すると、安心して書いてもらえます。
まとめ
ECのAI導入前には、業務を作業単位に分け、頻度、時間、元データ、判断、影響、確認者の7項目で整理します。負担が大きく、元データがあり、人が確認できる業務から小さく試すと、費用対効果を確認しやすくなります。ママダカラEC AIの無料相談では、この棚卸し表を見ながら最初の一つを一緒に決めています。
【今日からできる3ステップ】
- 「商品」領域だけ、作業を5行書き出し、月間時間と元データの列を埋める
- 1週間、担当者ごとに作業時間を記録する(評価に使わないと伝えて)
- プロンプトでA・B・Cに分類し、Aから一つを選んで2週間の試行計画を書く
【あわせて読みたい】
まずは30分の無料相談から
ネットショップのAI活用は、会社ごとに適した業務と順番が異なります。現在のお悩みや作業内容を伺い、AIで試しやすい部分と人が判断すべき部分を整理します。いきなり契約する必要はありません。まずはお気軽にご相談ください。
