生成AIを業務で使いはじめると、必ず出てくるのが「これは入力していいのか」という迷いです。判断の基準がないまま各自が使うと、気づかないうちに社外へ出てはいけない情報が渡っていることがあります。
この記事では、EC運営の現場でよくある場面に絞って、入力を避けたほうがよい情報と、迷ったときの判断のしかたを整理します。
なぜ気をつける必要があるのか
入力した内容は、AIを提供する事業者のサーバーへ送られて処理されます。ここまでは、どのサービスでも同じです。違いが出るのは、その後の扱いです。
- 入力内容がAIの改善(学習)に使われるかどうかは、サービスと契約プランによって違います
- 一定期間サーバーに保存される場合があります
- 個人向けの無料プランと、法人向けの有料プランで条件が異なることがあります
つまり「AIに入れたら学習される」と決めつけるのも、「有料だから大丈夫」と考えるのも、どちらも正確ではありません。お使いのサービスの条件を一度確認するのが出発点です。
入力を避けたほうがよい情報
1. お客様の個人情報
お名前、住所、電話番号、メールアドレス、注文番号、購入履歴。問い合わせへの返信文をAIに考えてもらう場面で、いちばん混入しやすい情報です。
問い合わせメールをそのまま貼り付けるのではなく、「サイズ交換の希望に対する返信」のように、状況だけを伝えれば十分な返信文が得られます。
2. 発売前の商品情報
未発表の新商品、価格、発売日、キャンペーンの内容。特に他社との共同企画は、先方との秘密保持契約に関わることがあります。
3. 取引に関する数字
仕入価格、原価、粗利、取引先ごとの条件。競合分析をAIに手伝ってもらうとき、自社の数字まで一緒に貼ってしまいがちです。
4. IDとパスワード、APIキー
「このエラーを直したい」とシステムの設定画面を丸ごと貼ると、鍵まで一緒に渡ってしまうことがあります。貼る前に、鍵に見える文字列が入っていないか確認してください。
5. 社員の情報
人事評価、給与、健康に関することなど。業務改善の相談をAIにするときに、具体名が入りやすい部分です。
6. 他社から預かっているもの
OEM先の仕様書、取引先から共有された資料、支給された画像素材。自社のものではないため、判断も自社だけではできません。
迷ったときの判断基準
「この内容が、そのまま社外の人の目に触れても困らないか」で判断してください。
実際にそうなるという意味ではありません。ただ、この基準は誰でも同じように使えます。「学習に使われるかどうか」を都度調べるより、現場では確実に回ります。
社内ルールは、3行で足ります
長い規程をつくっても読まれません。次の3行を、AIを使う画面の近くに貼っておくだけで、事故はかなり減ります。
- お客様の名前・住所・連絡先は入れない
- 数字(仕入・原価・未公開の価格)は入れない
- 迷ったら、入れる前に誰かに聞く
3行目がいちばん大事です。「聞いてはいけない雰囲気」があると、迷った人は黙って入力します。
貼る前に、ひと呼吸
事故の多くは、悪意ではなく「急いでいたから」起きます。メールをそのままコピーする、エラー画面を丸ごと貼る、資料をまとめてアップロードする。どれも、手を止めれば防げるものです。
ルールを増やすより、貼り付ける直前に一度だけ見返す習慣のほうが効きます。
社内ルールづくりも、ご相談ください
ママダカラEC AI の導入では、「どの業務を、誰が、いつ使うか」と一緒に、入力してよい情報の線引きも決めます。ツールを渡して終わりにしないためです。
