提案書は立派で、AIの最新動向にも詳しい。でも打ち合わせで「楽天のRMSの商品登録は、いまどの画面で」と聞いたら、答えが返ってこなかった。AIに詳しいことと、ECの実務を分かっていることは、別の能力です。
ECにAIを導入したいと考えても、支援先はツール会社、制作会社、コンサルタントとさまざまで、得意分野も違います。高機能なツールを入れても、商品情報の整理や担当者の運用が合わなければ、使われなくなります。支援先を選ぶときに見るべきなのは、AIの機能ではなく、ECの業務、文章・画像の制作、データの管理、社内への定着まで一緒に進めてくれるかどうかです。
この記事では、相談前に確認したい10項目を、商談でそのまま聞ける質問の形で紹介します。
【この記事でわかること】
- 支援会社を見分ける10の質問
- 契約前に確認しておくべき条件
- 断ったほうがよいサインと、小さく試す方法
1〜3.EC実務と課題を理解しているか
最初の3つで、EC実務の理解度が分かります。
- 「当社が使っている〇〇(モールやカート)での、商品登録や運用の実務経験はありますか」
- 「ツールの話の前に、いまの業務と課題を整理する工程はありますか」
- 「AIに任せる業務と、人がやるべき業務を、分けて提案してもらえますか」
3つ目に「全部AIでできます」と答える会社は、ECの現場を知りません。事実の確認、法令に関わる表現、お客様への個別対応は、人の仕事として残るのが実務です。
4〜5.制作の範囲と、成果物の扱い
- 「文章案だけですか。画像制作、商品登録、SNS配信、公開後の改善まで対応しますか」
- 「当社がやる作業と、御社がやる作業を、見積書に分けて書いてもらえますか」
あわせて、修正回数、納品の形式、使えるデータや画像の権利を確認します。特に、制作した文章・画像・テンプレートの著作権が誰に帰属するか、契約終了後も自社で使い続けられるかは、契約前に書面で確認してください。
6〜7.情報管理と確認体制
- 「使うAIサービスはどれで、入力したデータは保存・学習に使われますか。個人情報や機密情報の扱いはどうなりますか」
- 「AIの出力を、商品事実や販売条件と照合するのは誰ですか。事故や誤公開が起きたときの連絡と対応はどうなりますか」
お客様のデータを支援会社に渡す場合、個人情報保護法上の「委託」にあたり、委託契約と、委託先を監督する責任が自社に生じます。支援会社がさらに別の会社に再委託するかも含めて、契約前に確認を。公開前の確認体制は『AIが作った文章・画像の公開前チェックリスト』、社内ルールは『EC企業が作っておきたいAI利用の社内ルール』が判断の土台になります。
8.研修と引き継ぎ
- 「研修、テンプレート、マニュアル、質問対応は含まれますか。契約が終わったあと、データとテンプレートはどう引き継がれますか」
支援会社に任せ続けるのか、自社で使えるようになるのかで、必要な支援は変わります。自社で使えるようにしたいなら、研修の内容まで聞いてください。研修に入っているべき内容は『EC担当者向けAI研修に必要な内容とは?』にまとめています。
9〜10.費用と効果測定
- 「初期費、月額、AIの利用料、追加制作の費用、最低契約期間を、すべて書き出してもらえますか」
- 「何を成果として測りますか。作業時間、制作件数、品質、売上のうち、どれをいつ確認しますか」
「必ず売上が上がります」のような根拠のない説明より、試行と改善の進め方が具体的かを見てください。費用の考え方は『ECへのAI導入は費用に見合う?費用対効果の考え方』で解説しています。
断ったほうがよいサイン
10項目を聞いていくと、次のような反応に出会うことがあります。
- 業務の棚卸しをせず、最初からツールの契約を勧める
- 「全部自動化できる」「必ず売上が上がる」と言い切る
- 使うAIサービスや、データの扱いを答えられない
- 見積もりに、自社でやる作業と支援会社がやる作業の区別がない
- 契約終了後のデータ・テンプレートの引き継ぎを明言しない
一つでも当てはまれば、少なくとも即決は避けてください。
契約前に小さく試す
可能であれば、自社の商品情報を使ったデモや、小規模な診断を依頼します。見るのは完成物だけではありません。必要な準備、修正の量、担当者にとっての使いやすさ、質問への対応の速さと丁寧さ。これらは、長い付き合いになったときに効いてくる部分です。
複数社を比べるときは、同じ業務・同じ条件で提案を受けると、違いがはっきりします。導入前の自社の状況は『自社にEC AIは必要?導入前チェックリスト』で整理し、契約後の30日の進め方は『EC AIを30日で定着させる導入ロードマップ』を支援会社と共有してください。
よくある質問
ツール会社と導入支援会社、どちらに相談すべき?
ツールが決まっているならツール会社で足ります。「どの業務から、どう進めるか」が決まっていないなら、業務の整理から入る支援会社です。両方を兼ねる会社もあるので、10項目で見分けてください。
何社くらいから話を聞くべき?
2〜3社で十分です。それ以上は比較に時間がかかり、判断が遅れます。同じ業務・同じ条件で提案を受けることのほうが、社数より大切です。
まとめ
ECのAI導入支援会社は、EC実務の経験、課題の整理、制作の範囲、情報管理、確認体制、研修と引き継ぎ、費用、効果測定の10項目で選びます。質問はそのまま商談で使えます。著作権の帰属と個人情報の委託は契約前に書面で確認し、小さく試してから決める。自社が継続できる運用を一緒に作ってくれる相手かどうかが、最後の判断基準です。
【今日からできる3ステップ】
- 10の質問を印刷し、候補の2〜3社に同じ順番で聞く
- 自社の商品1つで、同じ条件のデモか診断を依頼する
- 見積もりに「自社の作業」「支援会社の作業」「著作権の帰属」「終了後の引き継ぎ」が書かれているか確認する
ママダカラEC AIでは、18年のEC実務経験をもとに、診断、デモ、文章・画像制作、研修、運用の定着まで一貫して支援します。10の質問は、私たちにもそのままぶつけてください。
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