楽天市場のセールに合わせて価格を変えた。ところが自社ECは古い価格のままで、お客様から「どちらが正しいのか」と問い合わせが来た。複数のモールに同じ商品を出しているショップで、いちばん起きやすい事故です。
同じ商品をECモールと自社サイトで販売すると、商品名、説明文、検索用の情報、画像のサイズを、媒体ごとに登録することになります。単純にコピーすると各媒体のルールに合わず、個別に作ると更新漏れが起きる。AIは、共通の商品情報から、媒体ごとの文字数や構成に合わせて文章を作り分ける用途に向いています。
この記事では、商品事実を一つにまとめ、「変えてよい部分」と「変えてはいけない部分」を分けて、AIで展開する手順を紹介します。
【この記事でわかること】
- 共通の商品マスターに入れる項目
- 媒体ごとに確認するルールと、作り分けの考え方
- 更新漏れを防ぐ記録の仕方
共通の商品情報マスターを作る
商品名、型番、素材、サイズ、色、内容量、使用方法、注意事項、価格、画像ファイル名を、一つの表にまとめます。媒体ごとに別の資料を持つと、修正のたびに情報がずれます。
列は、確定情報と販促用の表現で分けてください。
- 確定情報の列:型番、素材、サイズ、内容量、原産国、注意事項、価格(媒体別に列を分けてもよい)
- 販促表現の列:キャッチコピー、使う場面、ターゲット、強み
- 管理の列:画像ファイル名、公開状態、更新日、更新者
マスターが一つあれば、AIに渡すのはこの表の該当行だけ。作り分けのたびに情報を集め直す必要がなくなります。マスターの作り方は『ECの商品情報をAIで活用しやすく整理する方法』で詳しく解説しています。
媒体ごとのルールを確認する
商品名の文字数、使える記号、画像のサイズと枚数、説明欄の構成、禁止表現は、モールごとに違います。しかもルールは変わるので、登録時点の公式ガイドで確認してください。
特に注意したいのは次の2点です。
- 多くのモールでは、自社サイトなど外部への誘導リンクが規約で禁止されている。自社EC用の文章をモールに流用するときは、リンクとURLを必ず消す
- モールと自社ECで価格が違う場合、どちらかを「通常価格」のように見せる表示は、景品表示法の二重価格表示の問題になり得る
AIには「楽天向けに」と媒体名だけを伝えるのではなく、確認したルールを具体的に渡します。「商品名は全角〇文字以内、記号は使わない、外部リンクなし」のように、です。
「変えてよい部分」と「変えてはいけない部分」
作り分けの前に、線を引いておきます。
- 変えてはいけない:素材、サイズ、内容量、注意事項、安全に関わる情報
- 媒体に合わせて変える:文章の順番と長さ、見出し、キャッチコピー、商品名の構成
- 媒体で役割が違う:モールは検索されやすい商品名と仕様の比較、自社ECはブランドの世界観と詳しいストーリー
お客様が比較しやすい仕様と、購入後の注意事項は、どの媒体でも不足しないようにしてください。商品名の作り方は『AIで商品名・キャッチコピーを作成するコツ』、検索される言葉の選び方は『AIを使ったECサイトのSEOキーワード選定方法』をご覧ください。
AIへの依頼例
マスターの行と、媒体ごとのルールを渡して、こう頼みます。
「以下の商品情報から、A:楽天市場用(商品名は検索語を前方に、仕様を箇条書き、外部リンクなし)、B:自社EC用(ブランドの背景と使う場面を先に、丁寧な語り口)の2パターンを作ってください。素材・サイズ・内容量・注意事項は一字も変えないでください」
最後の一文が重要です。作り分けのとき、AIは「読みやすさ」のために事実まで言い換えようとします。事実の列は照合、表現の列は媒体に合わせて調整、という目で確認してください。
画像とリンクも媒体別に確認する
画像の比率、枚数、文字入り画像のルール、スマートフォンでの表示を媒体ごとに確認します。自社サイト内のリンクをモールの説明文に残す、モール用の「送料無料」バナーを自社ECに貼る、といった貼り付けミスにも注意してください。
AIで画像案を作る場合は、実物の商品情報と権利の確認が前提です。注意点は『AI画像生成をECサイトで使うときの注意点』にまとめています。
変更履歴と更新先を記録する
価格、仕様、納期、画像を変更したときは、どの媒体を更新したかを一覧で管理します。冒頭の事故は、この一覧があれば防げました。
- 変更日
- 変更内容
- 反映先(楽天/Amazon/Yahoo!/自社EC)と、反映済みのチェック
- 確認者
AIで文章を作り直すときも、必ず最新版のマスターを使ってください。古いコピーから作ると、古い情報が「新しい文章」として公開されます。アパレルのように色・サイズ展開が多い場合の進め方は『アパレルECでAIを活用できる7つの業務』で扱っています。
よくある質問
モールごとに価格を変えてもいい?
販売価格を媒体ごとに設定すること自体は一般的です。ただし、ある媒体の価格を別の媒体で「通常価格」のように比較表示するのは避けてください。それぞれの媒体で、その媒体の価格だけを表示するのが安全です。
Yahoo!ショッピングや他のモールも同じ考え方でいい?
同じです。マスターは一つ、媒体ごとのルール確認と作り分けを足すだけです。モールが増えるほど、マスターと更新履歴の価値が上がります。
まとめ
複数ECの商品情報は、共通マスターを作り、媒体ごとのルールに合わせて文章と画像を展開します。変えてはいけない事実と、媒体に合わせて変える表現を分け、更新履歴で反映漏れを防ぐ。AIは作り分けを速くしますが、商品事実、各媒体の最新ルール、更新状況の確認は人の仕事です。
【今日からできる3ステップ】
- 主力商品5つで、確定情報・販促表現・管理の3区分の商品マスターを作る
- 出店している各モールの商品名ルールと外部リンクの可否を、公式ガイドで確認して1枚にまとめる
- 1商品で「モール用・自社EC用」をAIに作り分けさせ、事実が変わっていないか照合する
ママダカラEC AIでは、楽天・Amazon・Yahoo!・自社ECなどの商品情報の整理と登録制作を支援します。
【あわせて読みたい】
EC業務へのAI導入をご検討の方へ
ママダカラEC AIは、商品説明、SNS、メルマガ、ブログ、画像制作、データ整理、社内研修など、EC運営で繰り返し発生する業務を支援します。登録不要のデモと30分の無料相談をご用意しています。
