初めて買ってくれた人にも、10回買ってくれている人にも、1年以上買っていない人にも、同じメルマガを同じタイミングで送っている。開封率は下がる一方。「全員に同じ案内」は、誰にも刺さらない案内です。
購入回数、購入時期、買ったカテゴリーを整理すると、新しいお客様と長く利用しているお客様に、違う施策を考えられます。AIは、集計済みのデータを分類したり、グループごとの施策案を出したりする作業に向いています。ただし前提が2つあります。個人情報を入力しないこと、そして、人の属性を推測して不公平な扱いにつなげないことです。
この記事では、安全な顧客分類の進め方と、グループ別の施策の考え方を紹介します。
【この記事でわかること】
- 個人情報を使わない、顧客分類のためのデータ準備
- 購入状況だけで分ける4分類の目安と、グループ別の施策例
- やってはいけない分類と、小さく試す手順
利用目的と、必要なデータを決める
再購入を増やしたいのか、休眠のお客様に戻ってきてほしいのか、初回購入後のフォローを改善したいのか。目的を先に決め、目的に必要な項目だけを集計します。
使うのは、購入日、購入回数、購入金額、商品カテゴリーです。氏名、住所、メールアドレスなど、個人を特定できる情報は除いてください。「お客様ID」も、分析には通し番号で十分です。個人情報の利用目的に、分析や施策への利用が含まれているかも、個人情報保護法の観点で確認しておきましょう。
分かりやすい分類から始める
最終購入日、購入回数、購入金額の3つで、4つに分けるのが基本です。条件は目安で、自社の購入周期に合わせて調整してください。
- 新規:初回購入から30日以内
- 継続:2回以上購入し、直近90日以内に購入
- 優良:半年で3回以上、または金額が上位20%
- 休眠:180日以上購入なし
食品なら購入周期、アパレルならカテゴリーやサイズ、ギフトなら利用時期も参考になります。分類の条件は表に残し、「なぜこの人がこのグループなのか」を担当者が説明できる状態にしておきます。
AIでグループ別の施策案を広げる
AIへの依頼はこうです。
「雑貨ECで、新規・継続・優良・休眠の4グループそれぞれに、値引き以外で次の購入につながる案内を5つずつ。各案に、送る時期と、内容の要点を添えてください」
出てくる案の方向は、おおよそ次のとおりです。
- 新規:使い方、ブランドの背景、よくある質問
- 継続:関連商品、組み合わせ、季節の提案
- 優良:新商品の先行案内、感謝の一言、限定ではなく「最初に知らせる」
- 休眠:新商品、変わった点の紹介、再訪のきっかけ
割引だけに頼らず、情報提供、購入後のサポート、季節の提案を組み合わせます。施策の中身は『AIを使ってECのリピーター施策を考える方法』で詳しく扱っています。
やってはいけない分類
年齢、性別、健康状態、家族構成などを、購入履歴からAIに推測させて分類に使うのは避けてください。特に、健康状態や信条などは「要配慮個人情報」にあたり、本人の同意なく取得・利用できません。推測であっても、それをもとに案内を変えれば、お客様が望まない扱いや、差別的な結果につながります。
分類に使うのは「購入の事実」だけ。「人物像の推測」は使わない。これが安全な線引きです。「〇〇な方には」と決めつける表現も避け、お客様が自分で選べる案内にしてください。ペルソナの整理と顧客分類は似ていますが、ペルソナは企画用の仮説、分類は配信用の事実ベース、と役割を分けて考えると混乱しません(『AIを使ったECのターゲット・ペルソナ設定方法』)。
配信の同意と頻度を確認する
配信の同意、停止方法、頻度、対象条件を確認します。メールは受信者の同意が原則で、配信停止の方法と送信者の表示が必要です(特定電子メール法)。グループ分けをしたことで配信が増え、結果として配信停止が増えては本末転倒です。
文章の作り方は『AIでECメルマガを作成する手順と注意点』をご覧ください。
一つの分類・一つの施策で試し、比べる
最初は、一つのグループに一つの施策で試します。「休眠のお客様に、新商品の案内を1通」のように、です。開封、クリック、購入、配信停止、問い合わせの変化を、通常配信と比べてください。
短期の売上だけでなく、お客様との関係を損なっていないか(配信停止、苦情)も見ます。長い目で見た指標は『AIを使ってECのLTVを高める方法』、返品や問い合わせの変化は『AIで返品・キャンセル理由を分析する方法』で扱っています。
よくある質問
お客様が何人くらいから、分ける意味がある?
数百人いれば十分です。それ以下なら、「新規」と「それ以外」の2つに分けて、新規向けの案内を整えるだけで効果が出ます。
分類の条件は、どれくらいの頻度で見直す?
半年に一度で十分です。商品の購入周期が変わった(定期購入を始めた、季節商品が増えた)ときは、そのタイミングで見直してください。
まとめ
AIで顧客を分類するときは、目的に必要な購入データだけを使い、説明できる条件で4つに分け、グループごとの施策を小さく試します。個人情報と、属性の推測は使わない。配信は同意と頻度を守る。この線を守れば、「全員に同じ案内」から抜け出す最初の一歩は、思ったより簡単です。
【今日からできる3ステップ】
- 購入日・回数・金額だけの集計表を作り、4分類の条件を決めて人数を数える
- AIにグループ別の施策案を出させ、「休眠」向けに1通だけ案内を作る
- 通常配信と並べて、開封・クリック・購入・配信停止を比べる
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