英語の商品ページを公開して1か月。注文は入ったものの、「サイズが合わない」という返品が続いた。原因を調べると、サイズ表はcmのままで、インチ表記に慣れたお客様が読み違えていた。文章は自然な英語だったのに、です。
AI翻訳を使えば、商品説明やFAQの多言語化は短時間で始められます。しかし、自然に読める文章でも、サイズ、素材、数量、配送、返品の条件が誤っていれば、注文後のトラブルに直結します。必要なのは、言葉の置き換えではなく、販売する国や地域のお客様が理解できる単位、表現、情報の順番に整えることです。
この記事では、AIを下書きに使い、人が確認する流れを、確認すべき項目ごとに紹介します。
【この記事でわかること】
- 翻訳前に日本語側で整えること
- 数字・単位・配送条件など、文章とは別に確認する項目
- 文化の違いへの配慮と、確認者・更新ルールの決め方
翻訳前の日本語を整える
一文を短くし、主語と対象を明確にします。同じ商品や機能を複数の呼び方で書いていると、翻訳後の言葉もばらつきます。先に、商品名、素材名、サイズ表記、ブランド用語の一覧(用語集)を作ってください。
- 商品名:日本語表記/英語表記(固定)
- 素材:リネン → linen、綿 → cotton のように対応を固定
- ブランド独自の言葉:翻訳するか、そのまま残すかを決める
古い説明や未確定の情報をそのまま翻訳しないよう、元情報を先に更新しておきます。翻訳の品質は、翻訳前の日本語の品質を超えません。商品情報のそろえ方は『売れる商品説明文をAIで作るために必要な5つの情報』と共通です。
商品仕様と数字は、文章とは別に確認する
サイズ、重量、容量、数量、価格、通貨、温度などの数字は、文章の確認とは別に、元資料と照合します。単位を変換する場合は、表示方法と丸め方を決めてください。
- サイズ:cmとインチを併記するか、販売先の単位に合わせるか
- 重量:gとオンス(oz)
- 温度(洗濯・保管):℃と°F
- 価格:通貨と、税込・税別の扱い
AIには、「商品名と数値は変更しないでください」と明示して渡します。翻訳の過程で「約2cm」が「約2 inches」に化ける、という事故は現実に起きます。
配送・返品・支払い条件を確認する
配送できる地域、送料、関税、到着の目安、返品の受け付け、返金方法、使える決済手段は、購入判断に直結します。国や地域によって条件が違う場合は、ページや表を分けてください。「関税は受取人負担」のような一文は、翻訳が自然でも、目立つ場所になければ意味がありません。
販売先の国には、その国の消費者保護や表示のルールがあります。食品、化粧品、子ども向け商品、電気製品は特に、表示義務や規格が国ごとに異なります。また、自社のブランド名や商品名が、販売先で他社の商標と重なっていないかも、公開前に確認しておくと安全です。重要な販売条件は、AI翻訳だけで公開せず、担当者と、必要に応じて専門家に確認してください。
文化と伝わり方にも配慮する
日本では自然な例えや季節の表現が、別の言語では伝わらないことがあります。「衣替えの季節に」は、衣替えの習慣がない地域では意味を持ちません。色や数字、贈り物の習慣も地域で違います。人物写真の表現が販売先に合っているかも見直します。
直訳より意味を優先する部分(キャッチコピー、使用場面)と、正確さを優先する部分(仕様、条件)を分けて、AIにもそう指示します。検索される言葉も言語ごとに変わるので、商品名や見出しは『AIを使ったECサイトのSEOキーワード選定方法』の考え方で、販売先の言葉から選び直してください。
確認者と更新ルールを決める
可能であれば、対象の言語を理解する人が、商品ページと購入画面を実際に確認します。難しい場合でも、商品担当者が数字と条件を確認し、AIによる逆翻訳(翻訳文を日本語に戻す)を補助的に使えば、大きな誤りは拾えます。
いちばん多い事故は、日本語ページを更新したのに多言語ページがそのまま、という「情報のずれ」です。日本語を更新したら多言語も更新する担当者と期限を決め、公開前の確認は『AIが作った文章・画像の公開前チェックリスト』に「単位・通貨・配送条件」の行を足して使ってください。
用語集を会社の資産にする
一度決めた商品名、素材、サイズ表記、ブランド用語の対応表は、次の商品の翻訳にそのまま使えます。AIに毎回この用語集を渡せば、商品ごとに訳語が変わることを防げます。更新日と担当者を記録して、商品が増えるたびに育てていきましょう。
よくある質問
どの言語から始めるべき?
いまのアクセスや問い合わせで、すでに来ている海外のお客様の言語からです。想定で選ぶより、実際の需要がある言語のほうが、確認の手間に見合う成果が出ます。
逆翻訳だけで確認は十分?
数字や条件の抜けを拾うには有効ですが、自然さや文化的なずれは拾えません。重要な商品ページだけでも、対象言語が分かる人に一度見てもらうことをおすすめします。
まとめ
AI翻訳で多言語ECを進めるときは、翻訳前の日本語と用語集を整え、数字・単位・通貨、配送・返品・支払い条件、販売先の表示ルール、文化的な表現を、それぞれ分けて確認します。翻訳後の確認者と更新の担当を決めれば、「自然だけど間違っている」ページは防げます。
【今日からできる3ステップ】
- 商品名・素材・サイズ表記・ブランド用語の対応表を1枚作る
- 主力商品1つを、用語集つきでAIに翻訳させ、数字と条件を元資料と照合する
- 日本語更新時に多言語も更新する担当者と期限を決める
ママダカラEC AIでは、多言語ページの下書き作成と、商品情報をそろえる運用設計を支援します。
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