「サイズが合わなかったので返品したいです」。リネンシャツの注文に、届いた翌日こんなメッセージが来ました。返品特約をページに書いていなかったと、この問い合わせで初めて気づく。珍しくない場面です。
返品の対応は、文面の前にルールがあります。何日以内なら受けるのか、送料はどちらが持つのか、セール品はどうするのか。決まっていなければ問い合わせのたびに判断することになり、対応はぶれます。
通販の返品ルールの基本(返品特約)、特約をAIで整える手順、問い合わせ返信の型と、人が判断する場面の決め方をまとめました。
【この記事でわかること】
- 通販の返品ルールの基本(返品特約)と、不良品の扱い
- 返品特約の抜け漏れをAIで整える手順
- 問い合わせ返信の型と、人が判断する場面
1.通販にクーリング・オフはない。代わりに「返品特約」がある
訪問販売などと違い、通信販売にはクーリング・オフの制度がありません。その代わりに特定商取引法では、店舗が返品の条件(返品特約)を表示する仕組みになっています。
返品特約を表示していない場合、商品到着から一定期間は購入者が返品でき、送料は購入者負担とされています。表示していれば、特約の内容どおり。期間の日数は、公開前に消費者庁の案内で確認します。
ただし、不良品は別です。注文と違う、壊れている、縫製がほつれている。こうした店舗側の原因による返品・交換は、特約に関係なく店舗が対応します。
冒頭のリネンシャツなら、特約がないために、サイズ違いでも返品を受けることになります。返品対応の負担は、返品特約を書いた日から軽くなります。
2.返品特約をAIで整える
返品特約に入れる項目は、だいたい決まっています。
- 期限(到着から何日以内に連絡するか)
- 条件(未使用、タグ付き、パッケージ未開封など)
- 送料の負担(お客様都合・店舗都合で分ける)
- 対象外(食品、開封した化粧品、セール品、名入れ商品など)
- 不良品の扱い(交換・返金、連絡方法)
- 返金の方法と時期
すでに特約がある店舗は、現状の文章をAIに渡して抜け漏れを指摘させます。「以下は返品特約です。期限・条件・送料・対象外・不良品・返金の6項目のうち、書かれていない項目と、お客様が迷いそうな表現を指摘してください」。
AIは法律の判断はできませんが、「どこが書かれていないか」を見つけるのは得意です。指摘をもとに人が書き足し、公開前に消費者庁の案内で確認します。
特約づくりでAIに頼むのは「書くこと」より「抜けを見つけること」です。
3.返品・交換の問い合わせ返信の型
返信の順番は、受け付けのお礼→条件の確認→手順(返送先・期限)→返金の時期。この順なら、次に何をすればいいかが分かります。
同じリネンシャツでも、理由によって返信は分かれます。サイズ違い(お客様都合)なら、「到着から◯日以内、未使用・タグ付きの場合に承ります。返送料はご負担をお願いしています」。縫製不良(店舗都合)なら、「ご不便をおかけし申し訳ありません。返送料は当店で負担し、交換品を先に発送します」。
AIに渡す情報は、注文内容(商品名・サイズ)、お客様の申し出、返品特約、お客様都合か店舗都合かの判断です。判断は人がして、AIは「この判断で、型どおりの返信を150字以内で」と文章化を担当します。
ほかの型は『AIで問い合わせ返信テンプレートを作る方法|ECで使える10例』にあります。返信の型は「お客様都合」と「店舗都合」の2つを分けて作ります。
4.人が判断する場面を決めておく
AIに任せるとき、最初に決めるのは「任せない場面」です。次の4つは、人が判断してからAIに文章を頼みます。
- 写真の確認が必要なとき(不良の状態を見てから判断する)
- 特約の対象外なのに、例外として受けるかどうか
- 高額品の返品・交換
- お客様が強く不満を持っていて、クレームに発展しそうなとき
「下書きはAI、判断と送信は人」と決めておけば、担当者が変わってもぶれません。
もうひとつ、お客様の氏名・住所・注文番号は外部のAIに入れないこと。問い合わせ文を渡すときは伏せ字にします。氏名入りのまま扱いたい場合の選択肢は、データが外に出ない『顧客情報を外に出さずにAIを使う:ローカルAIという選択肢』。詳しくは『AIに入れてはいけない情報チェックリスト』にまとめています。
返品対応でAIに任せるのは下書きまで。判断と送信は人の仕事です。
5.返品の理由は商品ページを直す材料になる
返品の理由を記録しておくと、商品ページの弱点が見えてきます。リネンシャツで「サイズが合わない」が続くなら、サイズ表に着用モデルの身長や「ゆったりめ」といった着用感が足りていない合図です。
「思った色と違う」なら、屋外と室内の写真を足す。「生地が薄かった」なら、素材感の説明を補う。返品理由は、お客様が教えてくれる改善点です。
理由をまとめて読む手順は『AIで返品・キャンセル理由を分析する方法』にあります。返品を減らす一番の近道は、返品の理由を商品ページに戻すことです。
よくある質問
「返品不可」と書いてあれば、すべて断れますか?
お客様都合の返品は、表示した特約に沿って断れます。ただし、注文と違う商品が届いた、壊れていたなどの不良品は、「返品不可」と書いてあっても店舗が対応します。「中身を理由にした返品はお受けできません」のように、何が不可なのかを具体的に書いておくと説明しやすいでしょう。福袋の書き方は『福袋・ギフトセットの商品ページをAIで作る:中身の書き方と「お得」の根拠』にあります。
返金のタイミングはどう伝えればいいですか?
「返送品の到着確認後、◯営業日以内に返金手続きを行います」のように、起点と目安を書きます。クレジットカードは決済会社の締め日で反映が遅れることがあるため、「反映時期はカード会社によって異なります」と一言添えておくと安心です。返金方法も特約に書いておきます。
まとめ
通販にクーリング・オフはなく、返品の条件は店舗が返品特約として表示します。表示がなければ一定期間の返品を断れません。
特約の抜け漏れはAIに指摘させ、返信はお客様都合と店舗都合の2つの型で用意します。
写真確認・例外対応・高額品・クレームは人が判断し、AIは下書きまで。
【今日からできる3ステップ】
- 自店の返品特約を読み返し、期限・条件・送料・対象外の4点があるか確認する
- 不足している項目をAIに指摘させ、人が書き直す
- お客様都合と店舗都合の返信テンプレートを1つずつ作る
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